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羽田空港の抱える課題、東洋経済の「羽田空港の駐車場『空前の大混雑』という難題」を読む

拙blogでも、羽田空港の抱える交通インフラの脆弱さについては「羽田空港へのアクセス改善について」でも触れました。

特に国際線ターミナルでは、一般車の乗降スペースが少ないため、慢性的に二重駐車状態になっている実情を記しました。

また、夕方などはバスプールにバスが入りきれずに空港連絡道路にあふれていたり、タクシープールからあふれた空車の列が環状八号線まで伸びていたりと、インフラの脆弱さは目を覆うほどです。

しかし、それに対し抜本的な解決策は無く、羽田空港の離発着枠だけが増えるという状況になっています。

 

その現実の中、東洋経済に掲載された「羽田空港の駐車場『空前の大混雑』という難題」の内容は衝撃でした。

言われてみればその通りなのですが、空港出迎えの一般車は駐車場利用が推奨されているものの、その駐車場自体に空きが無い時間帯が多い現実と、これも抜本的な解決策が無い現実は頭を抱えるばかりです。

 

そう言えば、私自身この夏に国際線ターミナルから第二ターミナルまでお送りしたお客さんは、いずれも第二ターミナル駐車場がいっぱいで仕方なく国際線の駐車場に止めて移動するための利用でした。

また、今年のGWに大阪に飛行機で家族と出かけたとき、駐車場の予約は開始日の午前0時に作業を始めて取れたのですが、私の作業が終わったときには既にその日の予約はいっぱいになっており、タッチの差で押さえられたことがありました。

羽田空港の駐車場問題は、身近なところまで迫っていました(^^ゞ

 

様々なことが問題になっている東京オリンピックですが、私個人としては、このような足元のインフラの脆弱さが一番の問題だと思います。

 

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羽田空港の駐車場「空前の大混雑」という難題

2020年に向けた旅客増に対応できるのか

鳥海 高太朗 :航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師  東洋経済オンライン2016年10月02日

飛行機に乗り遅れる旅客の姿も

 

今年の夏休み期間中、東京・羽田空港ではある問題が発生していた。国内・国際線の各ターミナルビルに直結する駐車場の大混雑だ。合計で約1万3000台を収容する5つの駐車場すべてで満車状態が目立ち、飛行機の出発に乗り遅れてしまった旅客の姿も見られた。ピークは8~16時頃。最大3時間以上の待ち時間となる日もあった。

以前から、ゴールデンウイーク(GW)やお盆の帰省ラッシュ期間、年末年始などのいわゆる繁忙期にこのような現象がみられたが、この夏休みについてはお盆に限った話ではなかった。8月下旬の夏休み最後の平日までかなり混み合った状態が続いたのだ。「空前の大混雑」と言ってもいい。

ターミナルビル直結の駐車場は、複数の運営主体がある。国内線第1ターミナル北側の「P1」(2351台)と第2ターミナルの南側の「P4」(2425台)は日本空港ビルデング、国内線第1ターミナル南側の「P2」(2343台)と第2ターミナルの北側の「P3」(2450台)は財団法人空港環境整備協会、そして国際線ターミナルの駐車場(3000台)は東京国際空港ターミナル(TIAT)だ。

空港の駐車場を使うのはみずからが飛行機に乗る旅客と、家族・知人などの送迎や空港のレストラン、展望デッキなどに遊びにくる一時利用者に大きく分けられる。個人的にも羽田空港の駐車場をよく使う筆者から見て、自家用車を停めて旅立つ人のほうが多いように感じる。

その旅客数はかつてないほどに増えている。羽田空港は2014年春に国際線の発着枠を大幅に拡大。国土交通省東京空港事務所によれば、2015年の年間旅客数は前年比3.5%増の7532万人と開港以来最多となった。

 

羽田空港は、首都高速道路に直結(空港中央出入口)。2015年3月には首都高速中央環状線大橋ジャンクション首都高速3号線)~大井ジャンクション(首都高速湾岸線)の区間が開通したことで、新宿・池袋方面をはじめ、東名・中央・関越の各高速道路からの羽田空港へのアクセスも格段に良くなった。駐車場の大混雑はこれらを反映している。

荷物が多い旅行者には、自家用車が便利だ

地域にもよるかもしれないが、首都圏在住者にとって、渋滞を加味しなければ鉄道やバスなどの公共交通機関を乗り継いでいくよりも自家用車のほうが早く着く場合は少なくない。特に旅行の際は荷物が大きくなることもあって、自家用車なら自宅と空港の間を楽に行き来できる。特に子連れにはメリットが大きい。

国内線ターミナルに直結する駐車場では、2010年秋までは24時間ごとに最大2500円の料金だったのが、国際線ターミナルの開設をきっかけに同1500円まで値下げされた。一方、国際線ターミナル駐車場は当初、同1500円だったが2014年春に同2100円に値上げされている。

たとえば国内線ターミナルの駐車場を1泊2日で利用するなら3000円、国際線ターミナルの駐車場を5泊6日なら1万2600円となる計算だ。ガソリン代や高速料金も含めると、公共交通機関の利用と比べればはるかに高いものの、羽田空港からタクシーに乗ると都心部まで片道5000円はあっという間。自家用車のほうが、かえって安いケースもありそうだ。特に収入の高い層の間では、多少のおカネを払っても自家用車を使いたいニーズがあるのだろう。

繁忙期以外の通常の平日ならばそれほど問題はない。ただ、繁忙期については、この混雑状態では気軽に利用できない。駐車料金とは別に1000円を払って、インターネットで30日前から事前予約できるサービスもあるが、かなり早い段階で予約が埋まってしまい、希望日に手配できないケースも多い。直接、羽田空港に向かっても日によっては朝8時前に満車になっている。さんざん待たされたあげくに、乗り遅れてしまっては元も子もない。

国内線第2ターミナルでは、満車の際には通常は路線バスの待機場所になっているスペースを日帰り利用者に無料開放して行列を少しでも短くするという努力をしているが、根本的な解決には至っていない。

 

羽田空港から少し離れてみてはどうか。京浜島(大井南インター近く)や浮島(羽田空港対岸の浮島インター近く)などには、いくつかの民間の駐車場業者が運営する有料駐車場があるが、これも繁忙期になると事前予約で満車になっていることも珍しくない。羽田空港に近い京浜急行空港線の「天空橋」「穴守稲荷」「大鳥居」周辺のコインパーキングもなかなか空車を見つけられない。蒲田方面や天王洲アイル方面などの有料駐車場に停めて電車やタクシーで羽田空港へ向かう手もあるが、これらは時間のロスやコスト面などであまり現実的ではない。

旅客数は今後一段と増加

問題は、羽田空港の旅客数は今後一段と増加が見込まれることだ。この秋にはこれまで深夜早朝帯(22~翌7時)にしか認められていなかった米国便が昼間帯(日中時間帯)と呼ばれる6~23時の発着で就航。これまで成田空港を利用していた旅客の一部が羽田空港に流れ、旅客が純増するシナリオが考えられる。

さらに、2020年の東京五輪に向けて都心上空の飛行解禁などによって、さらなる発着枠の拡大が検討されている。国際線利用者は荷物も多く、公共交通機関が運転していない深夜・早朝時間帯の発着も増えており、駐車場の需要がより拡大する可能性が高い。

国土交通省航空局首都圏空港課の担当者は東洋経済オンラインの取材に対し、「2020年に向けて羽田空港の旅客増に対応する駐車場の増設は検討事項のひとつ」と回答した。駐車場運営会社の中にも具体的な増築を検討する動きがある。

ただ、「物理的に考えて羽田空港周辺には、新たに大規模な駐車場を設置できるだけの土地がほとんどない」(首都圏空港課)。通常の平日に駐車場が極端に混雑することが少ないことも加味して、羽田空港周辺に駐車場を増設できるとしても1000~2000台規模の単位で実現するのは、かなり難しい話といえそうだ。

次の年末年始をはじめ、当面、繁忙期の大混雑は解消されないだろう。駐車場の事前予約ができないときに、飛行機に乗り遅れる可能性をできるだけ排除するなら公共交通機関を使ったほうが無難かもしれない。