改正「タクシー特措法」と「白タク解禁」の整合性
どうやら、今年の6月あたりに、政府の規制改革推進会議が「白タク解禁」に向けた答申を出す方向で調整しているようですね…
拙ブログでも度々触れてきましたが、Uberなどのライドシェアは、タクシーが足りない地域で成り立つビジネスモデルです。
タクシーがあふれている東京で「白タク」を解禁すれば、それは混乱しか生みません。
それらを語る上で、タクシーの規制緩和、規制強化の変遷をあわせて考えてみる必要がありそうです。
そして、特に2014年に成立した改正「タクシー特措法」で明確にされた規制強化の方向性との整合性をどのように考えているのでしょうか?
残念ながら、この議論はまったく見えていません。
前提として、世界の大都市でタクシーの供給規制を行っていない都市の方が少数派です。
ニューヨークでも、ロンドンでも、パリでも、公共交通機関であるタクシーの供給規制は当然のように行われています。
そして、それらの都市の方が相対的にタクシー利用金が安い傾向があるのも事実です。
つまり、規制緩和して自由競争をしたからタクシー料金が安くなるのではなく、供給を制限しているからこそ、タクシー料金を安くできている実態があります。
経済原則の話ではなく、これは事実として捉えておく必要があります。
さて、2002年にいわゆる小泉改革でタクシーの台数は増えました。そして、新規参入の会社も多数出現しました。
しかし、それによってタクシーの総需要が増えたというデータは残念ながらありません。
そして、残されたのは競争の激化とタクシードライバーの賃金低下という別の問題でした。
共倒れになるよりは、台数規制に転じようと業界の国土交通省がバックに付いた「自主努力」による減車が始まるのが、2009年のこと。
タクシーの台数は、それ以降減少に転じています。
そして、タクシーの規制強化を明確に打ち出した、改正「タクシー特措法」の施行が2014年のことでした。
しかし、減車に転じても、特措法で規制強化を明確にしても、タクシーの総需要は右肩下がりです。
パイの減少を台数の減少によって補っているのが、今日の実情です。
そして、このタイミングで「白タク解禁」の方向性…
規制強化を打ち出した、改正「タクシー特措法」は、国会で自民党から共産党まで全会一致で可決したと記憶しています。
そして、その法案可決以降、データ上はタクシーに需要改善の兆候は見られません。
この全会一致の国会決議と「白タク解禁」の整合性はどのように考えているのでしょうか?
たぶん、何も考えていないから「白タク解禁」という突拍子も無い手段が出てくるのだとは思いますが、少なくとも、規制強化を全会一致で可決した責任として、何故このタイミングで「白タク解禁」という規制破壊案が出てこようとしているのか説明する必要があると思います。
(たぶん、整合性は取れないけどね…)
さて、2002年の規制改革とは何だったのか?を明日以降エントリーしたいと思っています。
それは規制改革という美名で語られた、自社の商機拡大以外の何ものでもなかった実態が見えてきます。
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