タクシーで稼ぐのは楽勝なのか?
最近、ドライバーブログランキングが荒れています(笑)
原因は「サルでもわかる月収手取り40万大阪楽勝タクシードライバー初心者講座を公開中~!! 」とタクシードライバーやタクシードライバー予備軍を小馬鹿にしたブログが幅を利かせ、それに反発するブログやヨイショするブログが複数入り乱れているからだと思うのですが、いずれにしても「まとも」な状況ではないなぁなどと思ったりもしています。
「サルでもわかる月収手取り40万~」のブログについては、そもそも所得税や社会保険料を外した計算を本人も「手取り」と記しているので、これだけでも明らかなウソなのですが、それすら認めようとしない姿勢は呆れるより他ありません。
また、イケル氏を擁護するブログについても、数ヵ月後に答えは分かるなんて、あまりにもタクシードライバーを馬鹿にした書き方をするなど、常軌を逸しているとしか思えない始末です。
例えば、擁護する本人が40万円の手取りであれ、額面であれ達成したからと言って、イケル氏の記載が本当であることの証明にはならないのは、自明のこと。
あまりにもバカらしい、としか思えないのです。
拙ブログでも幾度か書きましたが、職業としてタクシードライバーをやっている身からすると、太く短くの短期戦の成果など、ほとんど意味を成さないと思っていますので、せめて最低でも3年くらいは実績を上げてから「楽勝」と記して欲しいと思ったりもします。
既に、1年少しのタクシー乗務暦しかないイケル氏は、乗務で稼ぐよりも紹介料などの他の手段で稼ぐ方向に移行したようですので、手取りどころか額面で40万すら危ういのではないかという売り上げしか上げられていないようです。
それも、書かれていることが「真実」という前提なのですが、それすらも怪しいのでは、氏の言う「楽勝」とはどこから発せられるセリフなのか、読んでいる方が考えさせられてしまいます。
ところで、鬼の首を取ったような真似をしても仕方ないのですが、イケル氏の日報が虚偽である実例として、「ハナキン。JR京都駅にお出迎え。なかなかにナイスな経験~♪」の日の日報を考察してみたいと思います。
この日、2:30に京都駅に予約の仕事が入っていた と書かれているのですが、
日報の一つ前は、千日前に1:22に乗車で交野市までとあります。
大阪の地理に疎い私でも、これは「ありえないだろう」と思います。
大阪から京都まで、約50km。常識的には予約の2時間くらい前から営業はストップして、現地に向かうところ。
つまり、一つ前の0時半に若江岩田から八尾に行った時点で京都に進行するのが、ギリギリのラインではないでしょうか?
それにもかかわらず、千日前で1時22分にお客さんを乗せている…
この時間に千日前を出れば、予約の時間の10分から15分前には現着できるでしょうし、それでもギリギリだと思います。
そして乗せたお客さんが少しでも京都方向とズレていればアウト。
2時半に京都には着きません。
そんなギャンブルを、予約の前にするんでしょうか?
さらに、千日前から交野市が約25km 、交野市から京都駅が28kmとこれらを合わせて1時間で走行するのはとても困難だと思われる距離を走りきったことになります。
たとえ、千日前~交野市が予約のお客さんであったとしても、1時20分に千日前~交野市、2時半に京都~豊中市という仕事を会社側が出すのか?と問われれば、これも非常識としか思えません。
前後の時間間違えなどの可能性も検討しましたが、前が詰まりすぎているので、その可能性は無さそう。
つまり、付け待ちや流しであれば相当なギャンブルだし、予約であれば会社は相当な非常識。
それだけで「楽勝」といえる仕事スタイルからは外れていきます。
いずれにしても、この日の最大のトピックに取り上げられてもおかしくない話題です。
まぁ、虚構だから何とでも書けるんでしょうね。
ところで、タクシードライバーというお仕事、40万円の手取りなのか額面なのかは知りませんが、それに達することは可能だと思います。
でも、「楽勝」か?と問われると、それは違うように思います。
大阪のお客さんが、東京のお客さんより「優しい」というのはイケル氏のブログやそれを擁護するブログを読むと感じるのですが、それはほぼ100%虚構なのでしょう。
まず、前提として1ヶ月に何日働いているのでしょうか?
夜勤で25日ですか?24日ですか?
完全週休二日だと、21乗務~22乗務くらいでしょうか?
その中で、25日や26日働いている時点で「楽勝」とは程遠くなります。
また、例えばこんなデータがあります。
データの信憑性は、疑わしいところもあるのですが、この手の統計を取るとタクシードライバーの平均寿命は他の職業に比べて短いというのは常識のようです。
それによると、
【早死にする職業ベスト10】
1位 大手広告代理店の営業
2位 IT企業の下請けSE
3位 チェーン飲食店店長
4位 若手官僚
5位 病棟勤務の看護師
6位 タクシー運転手
7位 LCCの客室乗務員
8位 自衛官
9位 公立学校の教員
10位 トラック運転手
上記のようになっていて、タクシードライバーは上位に入ってきます。
これは、昼夜逆転の不規則な生活や、ずっと座りっぱなしの姿勢など、様々な職業的な宿命もあるように思うのですが、いずれにしても一つのデータとしての価値はありそうに思います。
つまり、この仕事、そもそもの前提として「楽勝」では無いのですよ。
それを無責任に「楽勝」と煽り、手取りや支給総額の矛盾にも応えず、日報は明らかな虚偽記載が見受けられ、その上擁護するブログまで出してくるスタンスそのものが、おかしいのですよ。
これに関しては、ぶひさんの指摘が最も的を得ていると思いますので、私の感情に任せた駄文よりも、そちらを参照していただいた方が良いかもしれません。
以前も記した言葉で〆たいと思います。
あの、武蔵野市議になった元カリスマさんだって、3年はタクシーで稼いでいました。
せめて、3年は稼いでから「ノウハウを教える!」というスタンスに立っていただきたいと思います。
業界に入って、1年やそこいらの若輩者が、自ら実践すらしていないのに「楽勝」だとか、数ヶ月で分かるなんて大口は叩いて欲しくありませんし、彼らの言うほどこの職業は底浅くありませんよ。
私の先輩はバブル崩壊を乗り越えてきているし、私もリーマンショックや東日本大震災の後の自粛ムードを乗り越えてきました。
その度に、積み上げてきたものが崩壊するような危機を味わい、そしてそこから這い出てきたのです。
それでも、詐欺師は黙らないんだろうから、よほどタクシードライバーやドライバー予備軍はバカだと思っているのでしょうね…
それは、それで困ったものです。
何だか、久しぶりの更新がこんな話題でスイマセンでした…
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