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タクシー業界に影響の大きそうな判決です。「エムケイタクシーに未払い賃金2千万円支払い命じる判決」の記事を読む

エムケイ労務管理は様々な問題を抱えているようで、これまでにも賃金未払い問題で裁判になった例がいくつもあり、そしてそれらほとんどのケースでエムケイ側が敗訴となっています。

そして、本日(5/15)の東京地裁での判決で、エムケイ側の主張はまた退けられました。

しかし、報じられている範囲ですが、タクシー業界に様々な一石を投じそうな判決だと思いますので取り上げておきます。

エムケイタクシーに未払い賃金2千万円支払い命じる判決 Yahooニュース 朝日新聞

 

問題になりそうなのは、この部分

時間外手当を算定するための労働時間について「車庫に戻ってから30分後が退勤時刻」とした会社側の主張を、「洗車や日報記入などの作業は、30分ですべて完了しないはずだ」と退けた。

 タクシー会社の賃金体系は各社によってまちまちですが、大雑把に分類すると、例えば隔日勤務の場合であれば、1乗務の最大拘束時間21時間から休憩時間を引いた18時間をすべて働いたものとみなして計算している場合と、1乗務の実労働時間に出発前点検・帰庫後の洗車時間を1時間とみなして計算している場合に分かれると思います。

 

たぶん、エムケイは1乗務の実労働時間に、みなし1時間を加えて賃金計算をしていたと思われるのですが、その「みなし時間」が実態に合っていないと裁判所が判断したわけです。

 

時間外手当未払いという問題の他に、最大拘束時間の問題も絡んでくるので、この問題は相当厄介です。

 

例えば帰庫後の洗車などの作業に1時間かかっていると判断した場合、最大拘束時間は越えられないのですから、その分実労働時間がマイナスしなければならないですし、現在最大拘束時間を目いっぱい使って仕事をしていたとすれば、それらが拘束時間オーバーとなりうるのです。

タクシーの構造上の問題一旦棚上げしますが、その最大拘束時間を最大限活用しないと売り上げがついてこないという現実を考えれば、この判決は誰も得をしないものとも言えそうです。

 

つまり、残業代未払いだと裁判を起して認められれば、一時的に未払い分の時間外手当は戻ってくるかもしれませんが、最大拘束時間の縛りがある以上、実際にハンドルを握る時間を会社側は制限しなければ、洗車時間などを確保できなくなります。

実際にハンドルを握る時間が短くなれば、その分ドライバーの売り上げは減少します。

 

最大拘束時間を守りつつ、売り上げが上がる為には、タクシーの台数を大幅に減らすしか無いのですが、業界はこれ以上の減車は望まないでしょう。

 

構造上の問題が棚上げされたまま、現場のドライバーが結果的に苦しむ…

そんな時代の一歩にも思えたりします。

あるいは、この判決によって開けられたのが「パンドラの箱」で、最後に希望が残れば良いのですが…

 

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エムケイタクシーに未払い賃金2千万円支払い命じる判決 Yahooニュース 朝日新聞

 タクシー大手、エムケイグループの「東京エムケイ」(東京都港区)の元運転手12人が、未払い賃金など約7千万円の支払いを求めた訴訟の判決が15日に東京地裁であった。清水響裁判長は時間外手当の一部などが未払いだったと認め、同社に計約2100万円の支払いを命じた。

 判決は、入社後の教習期間の手当が、労働基準法で定めた賃金を下回っていたなどと指摘。さらに、教習終了後も、時間外手当を算定するための労働時間について「車庫に戻ってから30分後が退勤時刻」とした会社側の主張を、「洗車や日報記入などの作業は、30分ですべて完了しないはずだ」と退けた。